♪♪♪ みなあいのひとりごと ♪♪♪

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 No.3
思えば5年前ひとりでここへ来た
03.2.06

 金曜日。誰とも約束せず、ひとりで車を走らせた。初めてくぐるゲート。周辺を探し、場内を見回し、コンサート客らしき人は見当たらないので森の中のキャンプ村にひとりテントを張った。久しぶりのキャンプ、とってもいい気分でギターを弾いてたけど陽が落ちると一斉に蚊が湧いてきたので慌ててテントの中に避難した。
 土曜日。夜明け前に目が覚めて散歩に出かけた。サルスベリの街路樹、丘に続く道を歩いてると道端の灰皿から飛び出す小鳥の影。灰皿の皿をめくってみるとふんわりとした萱に包まれた小指の先くらいの大きさのセッカの卵があった。そこから真っ直ぐに下る道があって、遙か下にコンクリートの構造物が見える。ホトトギスの声、緑の海、風の薫りに包まれてその道をまっすぐ下っていくと芝生の広場に出た。初めてアスペクタの会場に足を踏み入れた瞬間だった。1997年5月25日土曜日午前六時前。

 僕の中でアスペクタが始まったのは1996年夏、大分県九重町切株山での野外コンサート。友人から「来年は阿蘇でやるらしいよ!」と聞いて胸が弾んだ。

 客席の芝生広場からスロープがあってステージに続いている。周囲を見渡し誰もいないのを確認してから上がり、センターに立つ。ステージから見えるのは初夏のまだ瑞々しい緑一色。でもステージの上はカラスがおそらく前日スタッフが残していた弁当などのゴミをあさったようで相当散らかってた…。気を取り直してブラブラと早朝散歩を楽しんでると広島ナンバーのワゴン車がやって来た。一番隊M隊長だった。「アンタやっぱ来たんね!」と突然の再会に感激。奥さんが前年に話したジョークで僕を憶えていてくれたのが嬉しかったなぁ。後続者のために駐車場で待機。昼前になり、「後が誰も来んねぇ…」と話しながらふと視線を下方にやるとアトラクションの「おもしろ自転車」に乗ってはしゃいでいるHさん(当時は顔見知り程度のお付き合いだったけど後に懇願してTEAM373隊長に就任していただいた)がいた…。その後「おぉ!」「ヨォッ!」の挨拶だけで十年いつも一緒にいた気になれる野外でしか逢えない仲間たちの笑顔が増えてくる。終演後の一番隊隊長との記念写真で後を通りすがるような風情でyamataiさんがとってもいい笑顔を見せてたりする。

 この年の「私の一曲」は自分でも意外なんだけど『ヘイジプシー…』でも『たぬき…』でもなくて!『初めて地球へ来た人達へ』だった。当然アルバムでは聴いてたんだけどCDでは何も感じなくてアルバム『心の虹』は買ってから1〜2回しか聴いてなかった。それこそ目から鱗が落ちたように帰りに車を走らせながら何度も何度も繰り返し聴いてた。今考えてみれば新しい(?)こうせつさんとの出逢いのきっかけになったような気がする。

 アスペクタ最初の年。携帯やネットがまだ普及してなくて、「ひとりで行っても誰かに逢えるさ」と出逢いの浪漫がまだ生きていた年だった。

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